何故評価が上がらないのか?徹底解説
★★★★★ 2016年9月に訪問
皆さんお気付きの通り、アウトオブシャドウランドは残念なことに、かなりの低評価なショーとなってしまっています。前評判から雲行きの怪しかったこのショーですが、今回は「ミスティックリズムの方が良かった」や「キャラクターが出てこないのが不満」などの個人的感想は省いて、非常に客観的にこの作品をアナライズしてみたいと思います。
事実ディズニーのテーマパークにおける造形力は世界で一番でしょう。ユニバーサル・スタジオにも足を運ぶ投稿者ではありますが、やはりどこかでディズニーには及びません。
そしてそれがこのショーと何が関係があるのか?と言うと、このショーはその「作り込み」を物理的な意味で、ほぼ完璧に放棄してしまったという点にあります…。
皆さん御存知の通り、ステージはプロジェクションマッピングが無ければ完璧に真っ白のシンプルな舞台です。「抽象的」と表現しても良いでしょう。
プロジェクションマッピングの成長は近年著しく、その効果も驚くべきものです。ですが、それを全面的にあの「ディズニー」がやるべきことだったのでしょうか?
そういう意味では、完璧に客層を間違えてしまったと言っても過言ではありません。
個人的にストーリー自体は、日本での近代のお芝居では良く見かけるタイプの筋書きであると感じています。「内気で物をハッキリ言えない女の子」は今の若い世代が共感しやすいステレオタイプのキャラクターです。その子が不思議な体験を通じて変化していく。というものは、舞台業界では決して稀なストーリーではありません。
ですが、繰り返しになってしまいますが、やはりそういったストーリーは30分で伝えきれるほど、単純ではありません。単純であってはいけないのです。「共感」を売りにする舞台は、その共感できる部分が如何に「現実的」であるかにかかっています。それをおざなりにして、表層的な部分だけをなぞらえてしまったからこそ、観客の反感を飼ってしまうのですね。
またこれは別の話ですが、中盤に入るワイヤーアクションの部分が非常に長く、且つ一番つまらない部分でした。投稿者の視点から見ると、あのワイヤーアクションは物語上必要だったものではなく、単純に「ミスティックリズムのファンの期待に答える」だけの要素だったと思います。そういう意図が垣間見えてしまうところでも、この作品の中途半端さが際立ちました。
長くなりましたが、総括するとこの作品は、「TDLでやるべきではない作品」ということです。ディズニーランドの中ではなくもっとちゃんとした劇場で、2~3時間かけ、全幕プロジェクションマッピングで進める革新的な舞台として売り出せば或いは受け入れられた存在なのかもしれないですね。
はじめに
自分が鑑賞したのは2016年9月の一回のみです。リニューアル版ではありません。ので、リニューアル後の内容では無いことをご了承下さい。「フィジカルメイキング」の良さこそがディズニー!
まず声を大にして言いたいのが、この「フィジカルメイキング」のプロセスであると思います。ディズニーランドがテーマパークとして世界中で大きな評価を得ている理由としてその「世界観の作り込み」という点は非常に大きいと考えています。事実ディズニーのテーマパークにおける造形力は世界で一番でしょう。ユニバーサル・スタジオにも足を運ぶ投稿者ではありますが、やはりどこかでディズニーには及びません。
そしてそれがこのショーと何が関係があるのか?と言うと、このショーはその「作り込み」を物理的な意味で、ほぼ完璧に放棄してしまったという点にあります…。
皆さん御存知の通り、ステージはプロジェクションマッピングが無ければ完璧に真っ白のシンプルな舞台です。「抽象的」と表現しても良いでしょう。
プロジェクションマッピングの成長は近年著しく、その効果も驚くべきものです。ですが、それを全面的にあの「ディズニー」がやるべきことだったのでしょうか?
そういう意味では、完璧に客層を間違えてしまったと言っても過言ではありません。
「30分」という限られた時間では表現できないストーリー
以前この脚本を制作された方のインタビューを読みました。その方の話によると、出来上がった脚本は2~3時間は要するような大作であったとのこと。自分個人も強く感じましたが、皆さんも仰っているとおり、「説明が足りない」けれど「セリフは説明的過ぎる」という現象がこの舞台では起こっていますね。これが起こってしまうのはやはり脚本家の方が伝えたいことを、30分で伝えようとするあまりに一つ一つのセリフが重くなってしまうのです。ですが、それでも足りていない。だから観客からすれば、「説明不足である」と感じてしまうのです。個人的にストーリー自体は、日本での近代のお芝居では良く見かけるタイプの筋書きであると感じています。「内気で物をハッキリ言えない女の子」は今の若い世代が共感しやすいステレオタイプのキャラクターです。その子が不思議な体験を通じて変化していく。というものは、舞台業界では決して稀なストーリーではありません。
ですが、繰り返しになってしまいますが、やはりそういったストーリーは30分で伝えきれるほど、単純ではありません。単純であってはいけないのです。「共感」を売りにする舞台は、その共感できる部分が如何に「現実的」であるかにかかっています。それをおざなりにして、表層的な部分だけをなぞらえてしまったからこそ、観客の反感を飼ってしまうのですね。
構成が非常に悪い
投稿者がとても強く感じたのが、全体のテンポの悪さでした。舞台、特にミュージカル作品というのは、歌っている時だけでなく、その間でさえも一定のテンポを保っているというのは最低条件のように感じます。例えば、歌い出すのかな?と周囲を気づかせるような演出もミュージカルの妙なのです。その点で自分が気分悪く感じたのが、どこで歌い出すかも、何故ここで歌うのかも不明なところで曲が始まることにあります。なんでもかんでも歌えばミュージカルになる、というわけではないのです。「歌って印象づける必要がある」からこそ歌うのです。楽曲のメロディーラインは非常に綺麗な物が多かったですが、印象に残らないのは間違いなくそこにあると思います。またこれは別の話ですが、中盤に入るワイヤーアクションの部分が非常に長く、且つ一番つまらない部分でした。投稿者の視点から見ると、あのワイヤーアクションは物語上必要だったものではなく、単純に「ミスティックリズムのファンの期待に答える」だけの要素だったと思います。そういう意図が垣間見えてしまうところでも、この作品の中途半端さが際立ちました。
長くなりましたが、総括するとこの作品は、「TDLでやるべきではない作品」ということです。ディズニーランドの中ではなくもっとちゃんとした劇場で、2~3時間かけ、全幕プロジェクションマッピングで進める革新的な舞台として売り出せば或いは受け入れられた存在なのかもしれないですね。