
王道の「ディズニーランド」感満載のショー。でも正直、海外にもっといいものが沢山ある
★★★★★ 2025年9月に訪問所感
3年かけてやっと抽選を当てることができ、念願の初鑑賞!!いわゆる「王道」のディズニーショー
「王道」のショーは世界中のパークにあるので、比較対象が多い分、競争が激しくなります。
その上で、このショーは自分にはあまり刺さりませんでした。
東京では「ビリーブ」並みにいいショーと伺っていて、期待値が上がり過ぎてしまった部分もあったかもしれません。
以下ネタバレを少し含みます
良い点
マッピング技術は世界中のショーでもピカイチ
「ディズニーランド」という感じのショー
海賊シーンのダンサーのスタンド風のアクト
ヴィランズ枠にアースラを選ぶというチョイス
「歌」というテーマでアースラを選んだんだろうが、アースラは数少ない、英語版よりも日本語版の方が歌がうまいと思うキャラクターの一人です。本当に日本語版の方、お上手だなと思います。そんなアースラを持ってきたのがいい。 it’s your songのメロディ
ミニーの綺麗な早着替え
be our guest のシーンはそれなりに見応えあり。ただ、ダンサーがフォークやスプーンを持って踊るシーンは謎。
気になる点
プロットに深みがないのに感動系
「起」がもうちょっとゆっくり展開されないと、世界観を咀嚼できない。なぜ魔法のオルゴールを見つけたのかの説明がないまま、オルゴールが所与のものとして扱われる急展開な世界観。せめてナレーションだけでもイントロダクションがほしい。「承」の名曲メドレーやプリンセスパートも全体的に矢継ぎ早に見せられている印象で、世界観に浸りにくかった。
「転」途中までディズニー作品の名曲切り抜きメドレーかと思ったら、急に自分の歌を見つけることにシリアスに。そもそもどうして自分の歌をオルゴールが作らせたかったのか分からない。通りすがりで見つけただけなのに、いきなり「自分の歌を示せ」となるか?シナリオがちょっとトリッキーすぎて、初見では状況が想像しづらい。
「結」「自分の心の中に自分の歌がある」という結びだったが、メッセージの意味は分かるが、その言葉に説得性を持たせるだけの描写がショー全体からは見られなかった。ピーターの言葉を鵜呑みにしているだけに見えた。
つまり主張の解像度が低く、厚みがないということ。(ここがビリーブとの決定的な差に見えた)
「自分の歌=自分の性格・個性」ということを、あのディズニー名曲メドレーだけから感じ取るのは少し難しい。その辺縁にあるストーリーにも触れないと。(そこをビリーブはしている)
例えばラプンツェルの作品で考えると、
(ストーリー)外界への憧れ→ (ストーリー)外に出た喜びと探究心→(歌)I've got a dream
という風に(ストーリー)が先にあって、その上で(歌)で彼女の個性や性格が輝いていると思うんです。ショーではこういった一連の流れを無視して、(歌)の方だけを切り取っているわけです。(I've got a dreamは登場しませんが便宜上)
(ストーリー)に触れられていると(歌)が個性の象徴とわかりやすくなったはずです。
しかも、メドレーでは「自分」の歌だったはずなのに、ミッキーたちは「自分たち」の歌を見つけようとしていて、その結果、調和を大事にしようというオチになったが、
ディズニーメドレーで登場した人物は「自分ひとりの歌(個性)」を持っていたので、一人だったものが複数人のものになっているという点で違和感。軸が「個性」でなく「調和」にぶれてしまっている。そもそもどうやって「調和」を達成するのかが表現されていないのも謎。(ミッキーが「心を1つにして、調和しよう」と言及するだけで、調和されてしまう謎)
なので、「①一人ひとりの個性形成(=自分の歌)→②それの調和(=フィナーレ)」という2段階で構成されればまだ納得感があったかも。尺的に足りなかったのか。でもそこにもプロットの曖昧さを感じてしまう。
背景が寂しい
奥行きが厳しいのだろうが、黒背景に大道具だけだと、舞台全体の充実度が高く感じられない。大道具が動いているだけにしか見えない。奥行きがないので、迫力に欠けた印象。(そこをなんとかマッピングでカバーしようと頑張ったのだろうが)海外パークのショーでは奥の巨大スクリーンを用意することで、奥行きの少なさをカバーしています。
アースラのシーンが拍子抜け
足が物理で胴体と顔は映像。迫り来る迫力が感じられなかった。舞台前から出るスモークもショボくて、より一層拍子抜け感を高めていた。 ワンマンを継承している部分も結構?
ジャングルブック、プリンセスのダンスパート、海賊シーン、最後のプリンセスの専用衣装...どうせ継承するなら、感動要素やメッセージ要素を含まずに、ワンマンみたいに「これがディズニーランドだよな!」と思わせる、そんなディズニーの世界観を列挙して圧倒するショーで良かったのではないか?
でもそれよりも、全く被りのない新しいものを作ればよかったのに。
フィナーレ感がちょっと薄い
もう少しあるかなと思ったら、フィナーレがあっさり終わった。そこも含めて、ショーの流れの緩急や繋がりがやや粗雑に感じた。その他
一番似ているショーはパリのミッキー&マジシャン
それと比べると、舞台の充実性(道具の細かさ)、ダンサーの多さ等で劣っていると感じざるを得ず、「もっとできるよな...」と思いながら鑑賞していました。 プリンセス枠の楽曲が生歌だったら、きっと評価は多少変わったんだと思います。
ズートピアのシーンの「踊りましょう!」は客席で踊れっていうことなのかな?
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