サンフランソウキョウと味覚の異空間
★★★★★ 2024年2月に訪問ラッキー・フォーチュン・クッカリーとは
ディズニー・カリフォルニア・アドベンチャーパークの新たな顔、サンフランソウキョウ・スクエア。ここは、ディズニー映画「ベイマックス」の世界を地で行くような、新しく生まれ変わったエリアだ。
この一角にひっそりと佇むラッキー・フォーチュン・クッカリーは、アジア料理の粋を集めた、味の冒険者たちへの挑戦状を投げかけている。
メニューを眺めれば、照り焼きチキンからクリスピー・チキン・サンドイッチ、さらにはラーメンや焼きうどんに至るまで、選択肢は多岐にわたる。
そこに、可愛らしいベイマックスの姿を模したマカロンまで並んでいる。
墨国
そんな中、俺の目を引いたのはビーフビリアラーメン。長くアメリカの大地で過ごすうち、心の隅にくすぶっていた日本食への憧れが、この一杯に賭ける希望となった。
ビリアラーメンがどういうものか知っているか?
ビリアラーメンとは、2019年からロサンゼルスを中心に巻き起こった新しい波。
メキシコシティからやってきた、まさに「バンデラス」のような存在感のある新世代ラーメンだ。
メキシコで愛されるビリア、それは牛肉とスパイスをじっくり煮込んだ、シチューのような料理。
そこにラーメンが合わさった時、何かが生まれるはずだった。
その上、半熟卵、コリアンダー、ローストコーン、フライドオニオン、ラディッシュ、そしてライムが加わり、目にも美しい一杯が完成する。
味覚
だがしかし、実際の味は想像を絶するものだった。それはまるで、醤油をお湯で10倍に薄めたかのような、どこを探しても味の見当たらないスープ。
麺はそのスープを避けるかのように、何の風味も持たずに口から喉をただ滑り抜ける。
俺は一体何を食べているんだ?
この一杯は、自分が何を食べているのかわからなくなるほどの味のなさ。
一瞬、自分の味覚が失われたかと錯覚する。
このレベルの味覚障害は、あのベイマックスが全力を尽くしてもケアのしようがないと、誰もが一瞬で悟るほどだ。
体験
この体験は、ディズニーランドの魔法すらも無力化するほどのインパクトを俺に与えた。まるで、異空間をさまようが如く、方向感覚を完全に失った。
このビーフビリアラーメンという一杯には、一体何が起こっているんだ?
俺の味覚に問題があるのか、それとも…?
いや、これは明らかにラーメンのせいだ。
これほどまでに味を感じない食事は、生まれてこの方初めてである。
ベイマックス、お前のロケットパンチでもこの味覚の異空間から脱出することは叶わないだろう。
すべてを悟った俺は、そのうち考えるのをやめた。
結論
結論を言おう。もし日本食をちょっとでも恋しく思う冒険者であるなら、このビーフビリアラーメンは避けるべきだ。
また、メキシコ料理に不慣れな冒険者にとっても、この一杯は推奨できない。
荒れ果てた荒野で運命を終えたくなければ、違う選択をした方がいい。
このラーメンは、ある種のバンデラスを心に宿した冒険者にのみ許された試練なのだから。
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